有限会社 野崎重機建設興業

【建設業の目線で考える】麻生コンクリート工業のJIS不適合問題 ―「見えなくなる材料」だからこそ問われる信頼


皆さんこんにちは。

十勝・帯広では朝晩の冷え込みがぐっと強まり、朝一の事務所の中もストーブの電源入れないと寒いです。

事務所のストーブの向きが社長側になってるので、寒がりな私の方向に少し向きを変えるためにひと仕事終えてきました。
そろそろ防寒着着てこいよって言われたけど、北海道に住んでる人にしか分からないでしょうね〜この寒さ(笑)


今回は、建設に携わる者として見過ごせないニュースを取り上げます。福岡の麻生コンクリート工業が、JISに適合しない生コンを製造・出荷していた問題です。
皆さんは、現場に届く生コンの「中身」を、どこまで確認できるとお考えでしょうか。

■ 現時点で公表されている事実

  • 本来と異なるセメントを混合して製造・出荷していたことが判明し、同社は9月12日から製造・販売を停止しています。
  • 対象は2021年から約5年間で、約142社、約190現場、約1万6,800m³にのぼります。
  • 7月23日にグループ統括会社へ公益通報が届き、外部弁護士らによる調査委員会が設置されました。10月20日に同社がホームページで経緯を公表しています。
  • 出荷再開の時期は未定で、安全性などの調査が続いています。

品質や安全性についての最終的な結論は、まだ出ていません。

■ 問題点① 施工者には「見えない」不適合

私たちが生コンの受入時に確認するのは、スランプ、空気量、塩化物量、温度、そして後日の圧縮強度試験です。しかし、どの種類のセメントが使われたかは、これらの検査では分かりません。

JIS認証は、貯蔵設備や配合管理を含む工場の製造体制を信頼の根拠にしています。
異なるセメントを混合させないための貯蔵設備や製造体制も、認証の要件に含まれます。
その土台が崩れると、現場側の努力だけでは防げません。

■ 問題点② 何が危険なのか

セメントの種類が変わると、初期強度の出方、凝結時間、水和熱、乾燥収縮、中性化や塩害への抵抗性などが変わり得ます。ただし、今回どの種類がどの割合で混ざったのかは公表されていません。そのため、「直ちに危険」とも「問題なし」とも言えないのが実情です。

強度試験の数値が合っていても、耐久性は別の話です。劣化は数十年後に表れるため、個々の現場での検証が欠かせません。

■ 問題点③ 法令の壁

建築基準法第37条は、建築物の主要構造部などに使うコンクリートについて、JIS適合品か国土交通大臣の認定品を使うよう求めています。
納入先が主要構造部だった場合は、同法に抵触する恐れがあります。強度が足りていても、JIS不適合という事実だけで法適合性の問題が生じ得るのです。

こうなると、施主、設計者、工事監理者、施工者が、確認と是正の責任をめぐって難しい立場に置かれます。

過去にも似た事例はありました。
2018年の関東宇部コンクリート工業の事案では、仕様と異なる産地の骨材が混入しており、国土交通省が安全性の確認と不適合の解消を指示しました。
今回も、まずは対象現場の特定と個別の確認が出発点になります。

■ 問題点④ 発覚の経緯と、公表までの時間

内部からの公益通報で問題が表に出た点は、通報制度が機能した例として評価できます。
一方で、通報から出荷停止まで約7週間、組合の公表まで約12週間かかっています。

納入先が事実を知るのが遅れるほど、仕上げ、設備、引き渡しと工事は先へ進み、確認や是正の負担は大きくなります。

■ 私たち施工側にできること

  • 納入伝票、配合報告書、試験成績書を確実に保存する
  • 発注先の生コン工場のJIS認証の状況を把握しておく
  • 万一のときの連絡体制と、契約上の責任範囲を確認しておく
  • 強度試験の供試体と記録を、所定の期間しっかり管理する

地味ですが、いざというとき自社と施主を守るのは、こうした記録です。

■ おわりに

私自身、生コン車が到着して打設が始まる場面に立ち会うたび、「ここから先は見えなくなる」と感じます。
コンクリートは、打ってしまえば中身を確かめにくい材料です。だからこそ、製造者への信頼と、それを裏づける仕組みが生命線になります。

遠い福岡の話と片付けず、自社の品質管理を見直すきっかけにしたいと思います。
調査委員会の報告を、引き続き注視していきます。

それではまた次回のブログの更新までお待ちください。

霜や初雪の便りが届く頃です。
タイヤ交換の時期でもありますね!
皆さん、体調管理にはくれぐれもお気をつけください。
したっけねぅえ〜


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